今日は照明計画について。
インテリアコーディネートというと、部屋の天井、壁、床の内装材、家具やカーテンなどのアイテムを整えるイメージを持つ方が多いと思います。
もちろん、これらのアイテムもインテリアを考える上で重要な要素ですが、同じように計画しなければならないのが照明計画です。
なぜ照明計画が重要かというと、照明器具のあかりでインテリアアイテムを演出し、それぞれの魅力を引き出せるかどうかで空間のイメージが変わってきます。
また、意匠照明などはインテリアのアクセントになるので、どこに配置するかやバランスなどが空間全体の印象を決めてしまいます。

最近の照明器具は、天井に埋め込むLEDダウンライトが主流です。
すっきりとした落ち着いた雰囲気を演出することができ、どんなインテリアにもコーディネートし易く人気のある照明器具です。
お客様からも『照明はダウンライトにしたい!』とご要望が出ることがよくあります。
ダウンライトもLEDが普及するまでは、蛍光灯や白熱灯のランプを使いΦ125やΦ100の大きめな器具をよく使っていました。
これらの器具は、既成のランプを使っていたので、小型化することに限界があったのです。
ですが、LEDが普及したことで、白熱灯や蛍光灯では実現できなかったコンパクトな器具設計が可能になり、最近はΦ75やΦ50のタイプも各社から発売されています。
器具径がΦ100からΦ75にすると、表面積は60%になり、天井に余白が増えます。

このように、器具が小さくなることで、ダウンライトの存在感が小さくなり、天井面がすっきり見えるようになります。
器具が小さくなると明るさが心配になりますが、しっかり配光計画をすれば、器具が小さくなったからといって『暗い』とか『光が伸びない』という問題もありません。
更に、調光や調色はもちろん、グレアレスという器具の眩しさを抑え、床面のみを明るく照らすダウンライトもあり、『光の質』にも拘ったものも数多くあります。

このように『光の質』に対する選択肢も広がり、空間を演出するための器具選定や、きめ細やかな配灯計画が必要になります。
建築雑誌を見ても、天井にはダウンライトの存在は薄く、インテリアとしてデザイン性の高いペンダントや間接照明で空間をコーディネートしているものをよく見かけます。
STYLE DESIGN OFFICEで照明計画をするときも、Φ75以下の器具を使い照度計画しながら、なるべく器具数を少なく、間接照明やペンダントが空間のアクセントになるよう計画しています。

先日着工した浜名湖の家のLDKリノベーション工事では、既設の天井にモールディングで装飾してあることもあり、ダウンライトは使わず、既設に合わせた掘り込み照明、勾配天井を照らす間接照明、インテリアのアクセントになるFLOSのブラケットとスタンドで計画しています。
〖ダイニングキッチンを照らす間接照明〗


意匠照明のFLOS。
時代を超えて愛された名作は、明かりを灯した時の光の広がり方も空間の質を上げてくれます。
〖ソファ横にフロアライト〗

〖リビングの壁にブラケット〗

照明は、『明るさだけ確保できればいい』と思う方もいるかもしれませんが、照明計画は、明るさだけでなく空間の雰囲気を左右する重要なポイントでもあります。
是非、建築計画の段階から、照明計画についてじっくり考えてみましょう。